感覚

ある日夫がイギリスでホテルの巡回の仕事をしているときに、10分前に会ったばかりの青年が部屋で倒れている姿を見つけたらしい。薬を大量服用して自殺を図ったみたいだが、案の定その場で警察が彼の死亡を確認した。どこにでもいるような男の子で、心の内に秘めた病みを抱えているような感じには見えなかったようで、救えなくて残念だと言っていた。夫は警察とお話しした後、通常通り本業の仕事に戻ったらしいが、私だったらショックで何も手がつかないだろうなって思ってた。きっと夫の「未来のことは誰にもわからないマインド」がどっしりとした心構えを支えているのかな。

未来というと、1年ごとか5年ごとか遠い未来をイメージしがちなんだけど、1分後も5分後も1時間後、明日も未来なんですよね。私たちは未来の約束を交わす事はできても、結局その時にならないと何が起こるかは誰にも分からない事なんですね。それでイスラム圏の方は未来の約束をするときによく「Inshallah(インシャーラー)」を使います。日本語訳にすると「神のご加護があれば」。例えば「今夜電話しましょうインシャーラー」って言われたら「神のお許しがあれば今夜電話しましょう」という意味になるけど、私はそれを聞いた時「ただの約束を守らない野郎」だと思ってたけど笑、今なら理解できる。未来は誰にも分からない感覚、日本ではあまり感じた事なかったけど、トルコ語を勉強してから1年半が過ぎてやっと身体で文化を分かるようになってきたかもしれない。